浮運河構想

●「浮運河」によるミナト・未来構想 2014年5月
● 横浜ベイブリッジ潜航計画・趣意書 2014年5月
● 浮運河=Floating Canal計画  2014年5月
●「浮運河構想」止揚論 2015年9月1日

大型客船ベイブリッジを潜る


「浮運河」によるミナト・未来構想

横浜市民、特に昭和20年代に幼少年期を送ったボクたち年配者にとって、港大桟橋は格別な存在です。戦後7年間もの間進駐軍に接収されてメリケン波止場には近寄ることも出来ませんでした。
それ故今流行りの豪華な大型クルーズ船の背が高くて、ベイブリッジを潜れずに手前の大黒埠頭に接岸したとのニュースに、大層がっかりしました。一度に数千人もの観光客を運ぶ大型客船が、あの桟橋に接岸できないなんて、ハマっ子の沽券に関わります。
観光客には、世界的コンペまで催して生まれ変わったハマのシンボルの大桟橋に接岸してから、日本のあちこちの名所を味わって欲しい。それこそ客人に対する最善の「おもてなし」ではないでしょうか。
そこで一市民として解決策を探ってみました。その答えが「パナマ運河を小型化して動かせばイイじゃん」。それが「浮運河」構想です。
「非自走・可動式大型潜函」と言いかえることも出来ます。大型船舶を修理する巨大な「浮きドック」は既に活躍してますから、日本の海洋及びAI技術を応用すれば、海水の出し入れで巨大潜函の水平的不沈を制御することぐらい、十分可能でしょう。
もしこの「浮運河」を採り入れて、大型客船がいつでも大桟橋に接岸出来るようになれば、港湾内は物流から解放され、人々が自由に交流・交感する空間として蘇り、ベイフロントは活性化するでしょう。
さらにブリッジの「潜り抜け」自体をイベント化すれば、横浜名物が一つ増えて世界五大美港の仲間入りにも役立ちそうです。
こうして「浮運河」が、ハマの新しい「物語」を紡ぐキッカケになれば幸いです。

2014年5月

横浜ベイブリッジ潜航計画・趣意書

横浜港は、日本の近代化を担う貿易と観光の窓口として150年余の歴史を持ち、客船寄港数が10年連続日本一の、市民が誇れる愛すべき港です。ハマっ子が「港」と言えば船旅の出入りを演出する山下埠頭・大桟橋。ハマの表玄関ですし、彼方のベイブリッジは表門です。

参考例:
瀬戸内海の浮きドック

だから流行りの大型クルーズ船が高さ制限でベイブリッジを潜れず、手前の大黒埠頭や本牧埠頭へ入港させるという今年5月の新聞報道に、大変落胆しました。表門を避けて他所から入港するのは、何だか勝手口から客人をお招きするようで大変失礼です。この6月三菱重工業が九年振りに大型客船を受注したように、今後世界的に大型クルーズの観光は広まり、多くの観光客が世界を巡ります。数千人のセレブ客を乗せた全長300m高さ60m超、10万トン以上の大客船です。それらが大桟橋やベイブリッジを素通りするのは、ハマのみならず日本の損失です。お客様には真っ当に表門から入港してベイフロントの景観を楽しみ、大桟橋の斬新な客船ターミナルを通って日本各地の観光を始めて貰いたい。ハマの第一印象が、他所の埠頭とは比較にならないほど新鮮に映るはずです。それこそ「おもてなし」の心であり、かつ市民の誇りも保たれます。
それには多少費用が掛っても、ベイブリッジを潜る仕掛けを用意しなければなりません。
今回は動く大型潜函のような「浮運河」を提案します。これは、浮きドック様の巨大構築物を二つ並べて「浮運河」を形成し、これにクルーズ船を引き入れたまま約10m沈めてベイブリッジを潜らせる、移動式小運河です。つまりパナマ運河を小型化して動かそうというアイデアです。

Floating canal計画
ベイブリッジ直下 潜航イメージ断面図

Floating canal計画
ベイブリッジ直下 潜航イメージ図

この「浮運河」を10m沈めるのに、水深13m前後の横浜航路の一部の浚渫工事が発生するかもしれません。しかし、世界の観光客へのホスピタリティに貢献し、ハマの誇りを取り戻すのに役立つのであれば、無駄な投資ではないでしょう。
巨大「浮運河」導入には巨額な建造費が必要です。そこで費用軽減対策として、東京レインボーブリッジも同じ悩みを抱えていますから東京都に話を持ちかけて共同開発(特区)すれば、建造費は半減します。また、クルーズ船の使用は年間それほど多くありませんから、非使用時の稼動率アップとして、①緊急時の避難船や物資運搬手段への転用、②幕張メッセ、パシフィコ横浜、東京ビッグサイトなど各博覧会施設と提携し、海上の巨大展示空間への活用、③洋上音楽・演劇公演、花火大会の誘致、などが考えられます。さらに「浮運河」によるブリッジ潜航を、昔の勝鬨橋の如くイヴェント化し、ハマの観光の目玉の一つとして盛り上がるのも一案です。

2014年5月

浮運河=Floating Canal計画

横浜港概略図
大桟橋こそ港・横浜の「表玄関」です。


具体的には、巨大な浮きドック式潜函(160m × 60m)を二体建造し、連結し320m×60m程度の「浮運河」(floating canal 以後F.C)を組み立てます。大型クルーズ船が入港する際、ベイブリッジ手前でクルーズ船をこのF.Cに引き入れ、躯体空洞部に海水を注入して潜函ごと全体的に約10m沈降させます。 その状態を保ったままブリッジ下を潜航し、潜り終えたら海水を排出して元の海面レベルに浮上させ、大桟橋に曳航します。出航時は、当然その逆を繰り返します。これによりブリッジ下は海面より55mですから、背丈が65m程度のクルーズ船まで対応できるようになります。

「浮運河構想」止揚論

数年前(2014年)巨大な客船が大桟橋に接岸できない物足りなさから、「浮運河」による解決を提案しました。
今年(2017年)になってあるテレビ局のニュース番組で、背の高いクルーズ船が、神戸港や博多港に入港してから東アジアに向けて出港する映像を見ました。突然、あァ!これでいいんだ、と閃きました。何も無理して大型船を東京や横浜、首都圏に呼び込むことはない。一極集中の弊害がいわれる中、「浮運河」はそれに逆行していないか?ベイブリッジやレインボーブリッジの高さ不足はヒトと同様にその港の「個性」と考えれば、ノッポの観光船は、難なく入港できる地域に任せれば良いでしょう。ですからあえて「浮運河」のような巨大構築物を設けることも、橋の手前に新たに停泊施設を設ける必要もありません。大桟橋に接岸できる船舶だけを、丁重におもてなしすればそれで十分です。これは敗北主義でなく、本来の地域主義への回帰です(ちょっぴり負け惜しみ?)

2017年9月

【浮運河】  
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