パロディ集

カン・変光星
オザワ・パルサー
オブチ・赤色巨星
「政治」のビツグバン
「永田町」宇宙背景敏射と
「政界」相対性理論

1999年6月6日

90年代後半 政治改革揺籃期パロディ集-03

「永田町」宇宙図鑑
宇宙論で読み解く現実の政治・試論

「政界ビッグバン」「派閥力学」「観測気球を上げる」など、科学の用語が政治家の動向を表す時に、よく使われる。現実の政治は、力=権力を巡る個と集団の複雑な相関関係であり、彼らはポテンシャルが異常に高く、政争や論争を好む「エントロピー増大則」人種だから、その活動を理解する上で統計的手法を取らざるを得ず、結果的に物理や数学のいい回しが、役に立つ。今回はその「ビッグバン」に着目して、永田町を一つの「政治系」宇宙に見立て、政治家=スターたちの様相を、望遠鏡で覗いて見る。
今年5月現在の永田町宇宙を概観すると、北向き右手に、時々回転が止るものの左禍巻型のヤトウ(野党)銀河があり、その中にはカンスターが看板のまだ日の浅いミンシュ三すくみ星団、ドイ星のシャミン先細り星雲、フワ&シイ連星のキョウサン集中星雲がある。左側には、最近めっきり明るさを増したオブチスターを戴く巨大重力のジミン不定形星団、それに引き寄せられて急転するオザワ星のジユウ一元星雲、この冬まで銀河圏外の第参極だったのに、やっぱりジミン星団の電波とシンクロして(参与)、生き残りをかけるカンザキ星。

カン・変光星

変光星は、文字通り明るさが変わる恒星。主星と伴星が重力で結び付き、共通の重心の周りを同る連星が、見掛け上一方が他方を隠す位置に来ると暗く、横に並ぶと明るくなるように、周期的に変わる星を食変光星という。この他、星自身の活動により一時急激に明るさを増し、その反動で後に暗くなる激変星、新星や超新星(爆発)なども、その仲間。HIV 問題の対応で俄に脚光を浴び、昨年の参院選後、一躍次期総理候補に踊り出たのに、このところすっかり輝きを失った民主党・菅代表は、変光星の代表格でもある。菅・羽田(存在感希薄ゆえ括弧内は鳩山)体制を連星に喩えると、カン主星とハタ(ハト)伴星の相性や位置取りが悪いのか、互いに反発して(工学系同士長所を消し合い)相乗効果無く、煌めかない。しかし、これは周期的現象だから、明るさは戻るかもしれない。一方、週刊誌を読み過ぎた一部の観測者によると、昨夏カン星が謎の眩惑星に接近遭遇し、その引力(色香)に、バプル気味だった周りのガスやフレアが剥ぎ取られて光を失った劇的変星ではないか、との説もある。その真偽は、カンスターが、再び輝くかどうかにかかっている。

オザワ・パルサー

太陽の十倍以上の質量を持つ星は、進化の最後に超新星爆発を起こす。その残骸の一つで、 周期的に電波を放射し高速で自転する天体がパルサー。直径が10キロメートル程なのに、 太陽と同じ質量を詰め込んだ超高密度(何と1㎤あたり数億トン)で、強烈な磁場を持つ 中性子からなる星(≒中性子星)。これよりも大きな星が、超新星爆発を起こして中心核 が収縮、重力崩壊すると、光も電波も出られないブラックホールになる。
政治改革を契機にジミン星団を離れ、巨大磁力を武器に馬頭星雲ならぬホソカワ八党星雲ヤトウを結集して、ジミンをヤトウ銀河に陥れ、一時天頂近くに輝いたオザワスターは、イチカワスターとの一一近接連星へ転化したのに、重力バランスを崩してヤトウ銀河に転落、捲土重来期して折角束ねたシンシン(新進)星雲を、敢て超新星爆発によリ余分なガスを吹き飛ばしてミンシュやコウメイ銀河誕生に寄与、自ら純化させてジユウ星雲に収縮し、形勢不利と見るやジミンとミンシュを天秤にかけ、カン星の「経済を政局にせず」発言、即ち、権力奪取の「力学法則」無視を口実にジミンとの連銀河で復活、七倍の質量を持つジミン星団を向うに回して「普通のウチュー」へ相転移を迫るオザワ星の、飽くなき権力への非情な執着や、死に急ぐようにも見える振舞いは、星の終末であるパルサーとダブる。このまま、融通無碍のジミン星団に包まれて、タケシタ/ナカソネ・ブラックホールに落ち込むか、または銀河同士の衝突で星が爆発的に誕生するスターバースト(≒政界再編)を起こせるか、興味深い。ついでにいうと、このパルサーは時々雲に隠れるから、観測には要注意。

オブチ・赤色巨星

一般的に星の色は、表面温度が高ければ白っぼく、低ければ赤みを帯びて見える。太陽の数十倍から数百倍の大きさと質量を持ち、表面温度が余り高くないので、明るくて赤く見える老齢の恒星が、赤色巨星。太陽の数十億年後の姿でもある。
去年の秋口、ハシモト星を継いで巨大星団を任された、明るさだけが取り柄のオブチスターは、表面温度が低いために「冷めたピザ」と揶揄され消滅間近と見られたのに、全方位気配り電波(電話)を発射しつつ、背後のタケシタ・ブラックホール(カネも情報も全て吸引)と、真の実力星ノナカ影星(衛星)の重力を借リて、まずオザワ・パルサーの電波を捉え、さらに本命のコウメイ星雲とも共噴し、天文学的な財政出動(振興券も)・ガイドライン・通信傍受法など放射線・紫外線からなる有害(の怖れ)電波で、ヤトウ銀河を封じ込めてしまった。このまま寿命が伸びて完全燃焼した場合、超巨星に進化して重力崩壊(権力が集中し過ぎて腐敗し崩壊する現象)を起こし、ブラックホールや黒幕になるか、それとも、使い捨てられて星間物質(星クズともいう)になるか、見ものである。ただし、赤色のアカはイデオロギーでなく、酒焼け・ゴルフ焼け・遊説焼けのそれと思われる。
これから、さらに遠方に望遠鏡を向け、ビッグバン当初の宇宙の様々な現象を探って見る。

「政治」のビツグバン

驚天動地の変化や威力にあやかって、近頃「ビッグバン」が大流行りである。ここでは、百数十億年前の出来事の実体を、次の四点に集約してみる。① 爆発的エネルギーの発散 ② 凝縮された自然界の四つの力、重力、電磁力、粒子を結ぶ強い力、β崩壊を起す弱い力、の相転移による分離独立 ③ 光の自立による”見える”ことの始まり④主要元素の誕生。
これらは政治レベルでは、①革命や戦争 ② 統一や独占された力の分散 ③透明で光明が差す事態 ④自然権の発生、といい換えられよう。そこで、これに該当しそうな歴史的事実を探ると、民衆のエネルギーによる独裁権力の解放、例えばフランス革命やアメリカ独立戦争、日本の場合は、市民エネルギーに欠けるものの 45年 8月15日の敗戦、が思い付く。
それは民主化への大変革であり、「四つの力」に対応するのは、①重力に代るのが、人を惹き付け十二分重みを持つ権力(主権在民、三権分立、公私区別)②その反作用としての批判力や抵抗力 ③自己決定力 ④構想力と説得力。逆に、封建的体質が残る旧世代の場合は、①権力(欲、独占、公私混同) ②カネ(金権) ③ポスト(利権) ④名誉(欲)。それゆえ、ガラガラポンの政界再編は、ほんの「ミニバン」(スターバーストなど)に過ぎない。

「永田町」宇宙背景敏射と「政界」相対性理論

65年に初めてアメリカで観測され、「ビッグバン宇宙論」の正しさを証明した字宙背景放射は、ビッグバン初期の超高温・高密状態の時に発した光が、宇宙の膨張につれて温度が下がり、−270℃の物体が発するのに見合う、宇宙の全ての方向からやって来る電波のこと。後に温度にゆらぎの存在が分かり、銀河の網目大構造のナゾの解明が進む。
この10年を振り返ってみても、策西冷戦の大構造が崩れたのにこの国では、湾岸戦争後、北朝鮮核疑惑など過剰な危機感や戦争協力止むなしの気分が醸され、「反戦・平和」意識や戦後の価値観のゆらぎの中で、ガイドライン・有事法制・通信傍受・国旗国歌法など、「自自公」体制が用意する数々の危うい政策や法案を目の当たりにする時、「ビッグバン」の冷めた余韻としての宇宙背景放射に呼応するのは、太平洋戦争で逝った日本とアジアの数百・数千万といわれる死者たちが発する「不戦の誓い」のパルスに違いない。
日本版ビッグバンが小さくて旧体貿が温存されたから、戦後ボクらは、政権が長く滞って権力の集中を招き、次第に庶民の価値観とズレ、座標軸が大きく歪んで腐敗し不祥事を生むのを見続けてきた。それは、時空の座標軸が、巨大な重力(権力)によって歪められる というアインシュタインの一般相対性理諭が、政治の中にも生きている、と錯覚させる。いつまでも諦めずに、政権交代を促す努力をした方が良い、という教訓かもしれない。
(注)〈永田町宇宙年数〉=〈実年数〉×〈108〉(例)〈50年前→50億年前>

1999年6月6日

【小論−04】