終着駅は同時に「出発駅」でもあるが、「終着駅」という言葉には旅愁が漂う。ここ下仁田は上信電鉄の終着駅。並ぶ車両は各私鉄の中古ばかりで統一感を欠くがそれもご愛敬。群馬の山には個性的な姿が多いが、この駅の正面奥にあるのは左から「四ツ又山」と「鹿岳」、駅員に尋ねたら迷うことなく教えてくれた。最近の駅員は役務に忙しいのか、その土地の状況については不案内な人が多い。そう言う訳で私はこの駅と駅員にとりわけ親近感を抱いた。この先 佐久に通じる道は「信州姫街道」、篤姫もここを通って嫁入りしたと地元の人は自慢する。（2022-5-30載）