私が初めてコンテを使ってスケッチするようになった第一号がこの絵。お付き合いいただいていた故大國章夫先生から、北海道の留萌から増毛海岸に取材しに行きたいと思うから、ツァーを設営せよとのお達し。JRの留萌・増毛間が廃線になる直前だった。先生が期待していたような漁村風景は最早存在しなかった。唯一この辺りが漁具倉庫のようなものが建ち並んでいて興味を惹いた。先生は私が鉛筆で描いているのを見て、コンテ鉛筆を使えと言って私に一本を下さり、擦ったりして情感を出すのだと指導して下さった。ただ、コンテは水彩絵の具を塗る際、溶け出すのが難点だった。
ご一緒した先生ご夫妻・先生の義弟は既に鬼籍に入られ、遠い昔の思い出となった｡(2023-12-29載）