場所は三重県熊野市五郷（いさと）。JR「熊野市」駅で見た観光ポスターが余りにも美しかったので、レンタカーを借りて走り回り、奈良県境に近いこの地を探り当てた。季節が違うのでポスターの印象とは異なっていた。あちこち描いていると老婦人がやって来て「家にいろいろ絵もあるので立ち寄って下さい」と言う。稲田の中に石造りの蔵が建っているので帰り際訪ねてみた。玄関正面には立派な襖絵。「息子が東京芸大を出て、今地元の高校の美術教師をしている」とのことで、素晴らしい作品や民具がある蔵を案内してくれた。帰り際トイレを借りようとしたら「小ならその辺の庭隅で適当にやって」との反応にビックリ！　今グーグルで調べるとこの蔵は国の登録有形文化財に指定され、この家の主 田垣内友吉・孫康夫の作品を収めている。友吉が学んだ中川一政作品もあった。
もうあれから10年ほど経った。因みに私は疎開先の熊野市（当時は入鹿村小栗須）の国民学校に終戦の年入学したので望郷旅行だった。(2021-8-23載）