生前親しくご交誼頂いていた新制作協会幹部のO画伯。この話の1年前に、奥様を亡くし、その後ご自分も自転車で転倒し頭を打ち、軽い認知症状態になり入院されていた。見舞いに行くと「君家に帰ったら家内に電話してくれないか。ひどいもんだね、私が入院しているというのに全く見舞いにも来ないんだ！」と過去と現実の区別が全くつかなくなっていた。ある時私が描いたスケッチを持参してお見せすると、ベッドからガバッと身を起こし画家本来の目付きに変わって、いろいろ適切なアドヴァイスをして下さった。その一つ「構図に意外性を持たせると見慣れた景色でも俄然面白くなる」。今日のスケッチ、右手に非常階段を入れるという構図が果たしてどれだけ効果を奏したか？(2020-5-27載）