花城康雄・祐子「金婚二人展」1 |
4月20日の筍ご飯 |
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展覧会の初日は4月20日ですが、この日は私にとって特別な日です。昭和20年3月、東京大空襲の直前にわが家は母方の叔父を頼って和歌山県に疎開しました。病後の勤労動員で体調を崩した姉も一緒で、疎開先に着くとすぐに鉱山の病院に入院しました。前日病院へ行った母に姉は「お母さん。わたし少しでいいから筍ご飯が食べたい」とひとこと。物不足の時代どうやって材料を入手したか分かりませんが、母は少量の筍ご飯を作り弁当箱に詰めている時、病院から突然の訃報が入りました。この時ほどの母の慟哭は生涯他にありませんでした。90歳で亡くなるまで、母は毎年この日が来ると筍ご飯を炊き仏前に捧げるのでした。あれからちょうど70年。あの時の熊野川の流れが思い浮かびます。
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